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![]() 家族の集うリビングと個のスペース、1階と2階を断続的につなぐ空間として、光庭を捉え、そこに繰り広げられる豊かな空間を操作した、 木造2階建て個人住宅です。 一面を珪藻土で塗ったリビングの壁面には、光と光の間が仄かに表現され、うつろいをより一層際だたせています。「空間をつなげる」ことにより、 光と陰、そして風をつなぐことが可能になった住宅です。 |
−ヒカリ(とカゲ)とカゼ − 40代前後の夫婦と小学生の姉妹、4人家族の為の木造2階建て個人住宅の計画を行った。 計画敷地は、近くに御陵の森と呼ばれる緑地がある高台に立地し、いわゆる市街地における住宅密集地と言われるところになる。 住宅を設計する場合、全体のイメージやコンセプトは、施主の年代と子供たちの有無、年代によるところが大きい。というか、そういった「その時」の家族の雰囲気・モチベーションを大切にしながら、今後の変化を見据えた計画を意識している。 ・これから成長していく子供たちと両親との関係 ・密集地における採光の取り方 ・空間と空間のつながり これらが、このプランにおいて、私たちが、施主と共有するキーワードとなった。 まず、敷地中央に中庭を配することから計画は始まった。 ここでの中庭の捉え方は両サイドを3階建てに挟まれた当敷地にとって、やわらかな光がさしこむ光庭となるように意図している。そして、それは緩やかな距離感を保ちながら空間を断続的につなげていく役割を担っている。 ・家族の集うリビングと個のスペースをつなぐ。 ・空間の中心であるキッチンとリビング・個室とをつなぐ。 生活の中心とプライベートを階を隔てながらもつなぐ。 そこは、何物にも邪魔されることのない(床がない点からしても)空間としてこの住宅の中心を陣取り、ゆうゆうとその存在を示している。そして、中庭型プランの難点である空間ボリュームの分割による構造的弱点を克服する為の策として、中庭の塀に耐力壁を配して、又、それを杉塀で囲うことにより、そこに映し出される光と陰の変化を創り出すことが出来たのである。 次に、空間の捉え方について考えた。つまり、つながりを意識する空間の創出である。 先ほども述べたように、この住宅の中心は、実はキッチンである。なぜ、キッチンなのか? 日々の生活をちょっと思い出していただければすぐにわかるように、日常生活の立役者である「母」「妻」が一日の中で最も長い時間を過ごす場所であり、さらに、学校帰りの子供たちの一番人気の場所でもあるからだ。 普段の計画では「人目の付かないところに置いてお客様に見られないように・・・」と、ついついダイニングの角に配してしまうキッチンが、この住宅では導線の真ん中、家の中心に配している。 キッチンを一番豊かな空間にしたい、という考えは、特に意識することなく、自然に沸き起こってきた。 キッチンからダイニング・リビングへ。緩やかなカーブを描きながらその天井は降りてゆく。カーブの一番高いところには、個室とつながったロフトの開口部が見える。屋根の形状を利用した高天井によって、集いの場と個の場が一体であることを示し、そして、この住宅の全体像が現れる。 ロフトの開口部をあけるとそこに見えるのは屋根の段差を利用したハイサイドの窓。 南の窓から北の窓へ。その中心に光庭への大開口部。 一面を珪藻土で塗ったリビングの壁面には、光と光の間が仄かに表現され、うつろいをより一層際だたせている。 「空間をつなげる」、という操作は、光と陰、そして風をつなげることでもあった。 京都、桃山に位置するこの住宅が、家族のアイデンティティを高め、その繋がりを助長する、 一端を担うものであり続けることを願う。 |
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