京都のよき伝統の雰囲気をそのままに、洋菓子の製造・販売を手掛ける「ふたえ洋菓子店」。
もとは、9坪ほどの小さな敷地に建てられた、小さな京町家であったが、幾度かの度重なる場当たり的な改修により、もとの京町家の風情は失われてしまっていた。また、長年に渡る使用によって老朽化が進み、建物自体も傾いてしまっているような状況からのスタートであった。
今回の京町家再生においては、先行してジャッキアップによる水平補正を行い、その後、腐食部分の取り替えや、耐震補強を行っていくという方法にて改修を計画。その上で、失ってしまった京町家の風情を現代的に再定義し、洋菓子店の雰囲気にふさわしい外観デザインとインテリア計画で全体のコーディネートを行うこととした。
正面には小さな坪庭を配置し、しっくいをアクセントにレトロタイル・レトロ照明で装飾を施す。外周にはトクサをあしらい、全体的に京町家の風情を感じさせると共に、鋳鉄製のサインと小さなのれんで和洋の折衷美を構成した。内部空間においては、スポットライトと細目格子にて店舗空間を効果的にデザインし、ショーケースに並べられる、いろとりどりのケーキを最大限魅力的に輝かせるための演出をおこなった。それはあたかも、小さな宝石箱にきらきらと宝石が輝くようなイメージである。
「かわいい洋菓子」と「ちいさな京町家」だからこそできた、「ふたえ洋菓子店」。
京町家のもつ新しい可能性を発見することのできた、意義のある改修プロジェクトであった。
建築場所 | 京都市下京区 |
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構造・階数 | 木造2階建 |
用途 | 洋菓子店 |
建築面積 | 25.18㎡(7.62坪) |
延床面積 | 38.90㎡(11.77坪) |
竣工年 | 平成24年(2012年) |
お客様ホームページ | http://www.futae.co.jp/ |