Published 〜メディア掲載情報〜

ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
雑誌や新聞に掲載されている情報のご紹介をいたします。

GOOD DESIGN HOTEL(商店建築6月号増刊号)〜宿泊機能の枠を超えたホテルデザイン〜

GOOD DESIGN HOTEL(商店建築6月号増刊号) 表紙GOOD DESIGN HOTEL(商店建築6月号増刊号) 表紙

Case21 宮崎日南

季樂 飫肥 合屋邸

空間コンセプト/KIRAKU JAPAN 乃村工藝社

設計/建築 ローバー都市建築事務所

内装 乃村工藝社

撮影:ワタナベカズヒコ

 

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まちなみ再生プロジェクトを具現化するコンバージョン

GOOD DESIGN HOTEL(商店建築6月号増刊号)合屋邸は、江戸時代の中級藩士邸宅の長屋門であり、通りに面して細長い平面形態をとる平屋建ての木造建築だ。長年、空き家となり放置されていたが、まちなみ再生プロジェクトの一貫で、高品質な宿泊施設として再生した。
全体コンセプトは「ポストヘリテージ:継承と次世代に紡ぐための変容」。柱や梁、天井のほか、土間、おくどさんの設えなど、かつての情景を伝えるものを極力生かしつつ、エントランスからダイニングまで一体的に感じられるよう、西側をオープンな広間に一新した。また、既存の小屋組みをダイナミックに見せると共に、現代の人達が心地良く利用できる空間に仕上げている。建築もまた、全体コンセプトを踏襲。飫肥石や飫肥杉、飫肥瓦などの地元素材、建材を積極的に活用しながら、現代的なアレンジを加えている。水まわりは特に重視し、当時のかまどを囲むように日本製の最新家電を配して新旧を対比した。
また浴室は、高野槙を使った浴槽を設置するなど、細部にまで配慮した設計となっている。
宿泊形態は、1日1グループ限定一棟貸し切りとし、ゲストが自由に使える調理器具などを備えている。「街の歴史や伝統を体験するためのハブ」として、「地域の暮らし体験」を提供する。

GOOD DESIGN HOTEL(商店建築6月号増刊号)GOOD DESIGN HOTEL(商店建築6月号増刊号)GOOD DESIGN HOTEL(商店建築6月号増刊号)
 

■DATA
空間プロデュース:乃村工藝社 山野恭稔
設計:建築/ローバー都市建築事務所 野村正樹 今井健雄  内装/乃村工藝社 數坂幸生
設計協力:構造設計/Maru工房 大崎晃靖
施工:久保田木工 江藤弘一
施工協力:調度品選定/ディスカバージャパン amadana 釜浅商店 SHOKEN 谷木材店 ブナコ ワイス・ワイス
所在地:宮崎県日南市飫肥8丁目1-48
工事種別:内外装 全面改装
床面積:99.32㎡
工期:2016年11月1日〜2017年4月15日

■営業内容
開業:2017年4月25日
チェックイン/アウト:午後3時/午前11時
代表電話(0987)25-1905
経営者:Kiraku Japan(同)
運営者:一般財団法人飫肥城下町保存会
主な客室料金:2万8800円〜(大人2人)

■主な仕上げ材料
屋根:構造用合板t12二重下地飫肥瓦葺き
外壁:木摺漆喰塗り 飫肥杉板H240,t12柿渋塗装(柿渋コートG/トミヤマ)鎧貼り 下見板貼り
外部柱:既存下地処理の上柿渋コートG塗装
床:構造用合板t24下地アッシュ材フローリングOS(マルホン)土間モルタル飫肥石貼り
壁: PBt12.5下地漆喰塗り(あわじなんば白/近畿壁材工業)じゅ楽壁材コテ塗り横引き(ジュラックス/四国化成工業)
天井:垂木 化粧野地板 飫肥杉120×120S 既存大和 天井クリーニング 既存竿縁天井クリーニング
家具:飫肥杉OSCL 古材、古建具転用
囲炉裏:CB積框/栃チヂミ杢耳付きt100UC(丸萬)立ち上がり/飫肥石t120貼り
照明器具:基本照明(大光電機) スタンド照明(モデュレックス)

1、ファサード。宮崎県日南市飫肥城下町、中級家臣通りに位置する。街並みは、重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、飫肥杉や飫肥瓦など、地産材を使用した建物が軒を連ねている

2、築100年以上の民家を改修。西側は既存壁を取り払い一体空間とし、より街とつながることを意図した。小屋組みはライトアップにより演出している

3、囲炉裏には、厚さ100mmのチヂミ杢耳付きのトチ材を使用している。また立ち上がりには、厚さ20mmの飫肥石が貼られた

4、おくどさんを生かしたキッチン

5、庭側から見た外観。日南市では、点在する歴史的建造物にそれぞれ機能および役割を持たせていくことで、街全体の魅力を包括的に高めていくプロジェクトを推進している

7、既存の良さを生かすため配線などを竹で覆ったソファスペースから囲炉裏方向を見通す。宿泊形態は1日1組限定の一棟貸し切りで、「地域の暮らし体験」を提供する

8、高野槙の浴槽を設置したバスルーム

9、洗面スペース。地元のマテリアルを採り入れつつ、古民家でありながら、利用者が心地良く利用できる空間を意図したデザイン

10、寝室。バゲージスツールは、元々民家で使用されていたタンスの引き出しを転用したオリジナル

 
(株)ローバー都市建築事務所


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