Published 〜メディア掲載情報〜

ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
雑誌や新聞に掲載されている情報のご紹介をいたします。

毎日新聞 2017年12月01日号

毎日新聞 2017年12月01日号
 

きょうと空間創生術 [267]

「床座式再考論」

毎日新聞 2017年12月01日号 建築設計学における起居様式のひとつの概念として「床座式」と「椅子座式」がある。起居様式とは住居の中における住生活の様式を指す。簡単にいうと、昔ながらの、床の上に正座をして食事をとり、畳の上で布団を敷いて就寝するスタイルが「床座式」。これに対して、椅子に着座しながらダイニングテーブルで食事をし、ベッドで就寝する欧米風の生活様式が「椅子座式」と区分されている。

 設計の仕事をしているとよく分かるが、個人の生活様式は、本当にさまざま、十人十色である。私も住宅の設計を行うときには、クライアントの生活様式を毎回、詳細に聞き取りながら、その人にとって、居心地がよく使い勝手のいい最適な居住空間を計画していくようにしている。私が建築設計をはじめた27年前当時と比べると、最近「床座式」で日常生活をする人の割合が減ってきていると感じている。

 すなわち以前より、床に座って食事をする人より、椅子に座って食事をする人が増えてきているということであり、かくいう私も、若い頃は「床座式」の食生活だったが、現在は「椅子座式」が主流となっている。

 また、例えばフローリングの上に直接座ることや、畳の上にベッドを置くなど、両方の様式が混在していることも、外国からみると特殊なことのようであり、それも異文化を柔軟に取り入れてきた我が国のひとつの特長ともなっている。

 写真は、先日リニューアル工事をした、京都市中京区にある老舗旅館「NISHIYAMA RYOKAN」の客室部分。近年減少傾向にある「床座式」の良さを再考させられた印象的なプロジェクトとなった。

=15日の次回に続く

 
(株)ローバー都市建築事務所


PAGE TOP