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ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
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毎日新聞 2017年06月23日号

毎日新聞 2017年06月23日号
 

きょうと空間創生術 [256]

「新旧の対比と融合」

毎日新聞 2017年06月23日号 先日、京都東山三十六峰の最南端「稲荷山」西麓(ろく)にある京都市伏見区の伏見稲荷大社を訪れる機会に恵まれた。全国に3万社を数える稲荷社の総本宮であり、五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛、家内安全、諸願成就の守護神として、全国に広く信仰されている。

 その歴史は古く、奈良時代の和銅4(711)年2月初午(はつうま)の日に稲荷大神を稲荷山にまつったのがその創建とされ、2011(平成23)年には御鎮座1300年を迎えることとなった。御鎮座1300年奉祝事業の一環として、新しく社務所が建設された。明治時代に建造された旧社務所に隣接する敷地に、地下1階地上2階建て延べ約3600平方メートルの新館が建設されたのである。

 現代和風を基調とした入り母屋造りの連続した三つの屋根を持つ新館は、明治期に作庭された旧庭園に面するように建造され、それに対比するように旧社務所に対する部分には、新しく現代庭園が計画されている。稲荷山を借景に雄大な池泉回遊式庭園が形成され、新旧の融合が巧みに図られているのである=写真。

 近年は外国人観光客にも人気が高く、世界最大の旅行情報口コミサイト「トリップアドバイザー」が今年発表したランキングでも「行って良かった」日本の観光地1位に選定されているのも興味深い。千本鳥居に代表される、鮮やかな朱色に彩られた鳥居が連続する風景は独特の美しさを創出し、伏見稲荷大社を代表する観光スポットにもなっている。

 伝統と現代が美しく混在する伏見稲荷大社。その新旧の対比と融合の妙を、新しく感じることのできた初夏のひとときであった。

 
(株)ローバー都市建築事務所


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