Published 〜メディア掲載情報〜

ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
雑誌や新聞に掲載されている情報のご紹介をいたします。

毎日新聞 2017年01月13日号

毎日新聞 2017年01月13日号
 

きょうと空間創生術 [245]

「新しくなる京都市役所」

毎日新聞 2017年01月13日号 昭和初期に建設され、平成の現代まで長く市民に愛され続けている「京都市役所」=写真。ネオ・バロック調のレトロな外観を持つ市役所本庁舎は関西建築界の父とも呼ばれる「武田五一」の監修による。平面計画はいわゆる「山」の字型。御池通に面して、両翼を左右対称に突き出し、中央に塔を建てるスタイルは、当時官庁建築の正統的様式として多くの建築に用いられ、京都府庁旧本館、兵庫県庁舎などにもその潮流がみてとれる。

 西洋建築のなかに垂直線を強調しながら東洋的モチーフを取り入れたその外観デザインは、アーチ窓の意匠や肘木に似た支えを持つ露台、毛筆のようなタレット(小塔)といった細部においても表現され、近代の名建築と呼ぶにふさわしい壮麗なファサード(前面)を形成している。

 一方で、築後約90年を経て、近年においては、耐震性能の不足をはじめ、執務室の分散化や狭あい化、施設・設備の老朽化など多くの課題を抱えることとなり、それら多くの課題への対応と防災拠点としての市庁舎の整備が求められていた。

 昨年、発表された「京都市新庁舎整備実施設計要項」によると、歴史的・文化的価値の高いこの本庁舎は、大阪市中央公会堂、国立西洋美術館、東京駅などでも使用された、免震レトロフィット工法により、外観・内装とも創建当時の意匠を保存する再生計画となっている。

 また、本庁舎北側に新しく建設する新庁舎については、中間部分に開放的な中庭を設け、透明感のあるシンプルなデザインとすることによって本庁舎の風格を引き立てる外観形成が考慮されている。さらには西庁舎・分庁舎の建設も予定されており、2022(平成34)年度の完成を目指して現在準備が進められているところである。

 「新しくなる京都市役所」。京都の歴史と文化の継承のシンボルとして、これからが楽しみな大規模プロジェクトである。

 
(株)ローバー都市建築事務所


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