Published 〜メディア掲載情報〜

ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
雑誌や新聞に掲載されている情報のご紹介をいたします。

毎日新聞 2016年12月09日号

毎日新聞 2016年12月09日号
 

きょうと空間創生術 [244]

「カフェが育む時間と空間」

毎日新聞 2016年12月09日号 先日、京都市下京区の高瀬川沿いで、一軒のコーヒーショップを設計する機会に恵まれた。正面通りと西木屋町通りの角地に位置する全17席のこのカフェは「murmur coffee kyoto」と名付けられ、街中にありながら都会の騒々しさを感じさせない、落ち着いたロケーションとなっている。

 「murmur」は日本語で「木の葉のざわめき」や「小川のせせらぎ」のようなかすかな音を意味する英語。その店名が示す通り、目の前の「高瀬川」の心地よいせせらぎの音を聞きながら、四季折々の花や緑を感じることのできる喫茶空間としての改装を計画した。

 一杯のコーヒーを楽しみながら、来訪するゲストに対してより魅力的な時間と空間と体験を提供することが現代のカフェの計画には求められている。そういった意味において「高瀬川」の外部空間を、いかに心地よく効率的に内部空間に取り込むことができるかを主眼に置きながらカフェの設計を行っている。

 大きな木製窓を外部に対して、風景を切り取るように設け、自然を視覚的に感じさせるとともに自然光を意識した濃淡のある照明計画を行った=写真。また、内装カラーはグレーを基調とし、店内の椅子やテーブル、本棚といった家具にはオーク材を選定することにより、全体としてぬくもりと安らぎを感じることのできるしつらえとなっている。

 約30平方メートルほどの小さなスペース。単なる喫茶店としての内装設計ではなく、カフェが育む時間と空間を新しく創造することのできた、印象的なプロジェクトとなった。

 
(株)ローバー都市建築事務所


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