ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
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きょうと空間創生術 [238]
京都市東山区八坂神社前、元弥栄中学校跡地に今年新しく開館した「漢検漢字博物館・図書館(通称:漢字ミュージアム)」。6月29日のオープン以来、連日、修学旅行生や観光客らを中心に多くの入場者でにぎわいを見せている。
2011年3月に廃校となった、「元弥栄中学校」は、明治2(1869)年に京都の町衆の手で設立された「番組小学校」64校のうちの下京第33番組小学校にあたり、開校以来142年の歴史を重ね、多くの卒業生を送り出してきた。旧校舎は昭和初期に建設された鉄筋コンクリート3階建てで、塔屋部分にかかる緑青(ろくしょう)色の宝形屋根が印象的で美しい建物であった。
約6100平方メートルのその跡地活用については、京都市が2013年に公募型プロポーザルを実施し、日本能力漢字検定協会を選定。事業方式として60年間にわたる定期借地権方式を採用し、総事業費は約25億円となっている。
写真は「漢字ミュージアム」の外観。大きな間口を上品に活用しながら、現代和のデザインを格子とひさしで表現し、端正なプロポーションを創出している。約2600平方メートルもある博物館内では漢字に関するさまざまな展示がなされ、体験や遊びを通じて漢字の歴史や文化を学ぶことのできる施設となっている。漢字に関する専門書も約3000冊常備され、年末恒例の「今年の漢字」で揮毫(きごう)された書も併せて展示されている。
日本で初めての試みとなる「漢字」の博物館。秋の観光シーズンの訪れとともに、一度足を伸ばしてみてはどうだろうか。