Published 〜メディア掲載情報〜

ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
雑誌や新聞に掲載されている情報のご紹介をいたします。

毎日新聞 2016年07月22日号

毎日新聞 2016年07月22日号
 

きょうと空間創生術 [235]

「地鎮祭のよもやま話」

毎日新聞 2016年07月22日号 新しく建築工事をはじめるにあたり、ほとんどの現場では工事の着工に先立ち「地鎮祭」が執り行われる。その土地を守っておられる神様を祝い鎮め、工事の安全と無事に完成することを願って実施される儀式である。先日も、京都市東山区祇園で新しく建設される宿泊施設「花とうろ stay 祇園レジデンス」の地鎮祭に参加する機会に恵まれた。

仕事柄、今までに数多くの地鎮祭に参加をさせていただいている。地鎮祭の多くは、氏神様や近隣の神社より神主様をお迎えして神式でおこなうことが一般的であるが、他にも仏式やキリスト教式・金光教式の地鎮祭にも参加をさせていただいたこともある。また、その歴史は古く、「日本書紀」には、持統天皇時代の691年、藤原京の造営に際して「新益京(しんやくのみやこ)を鎮め祭らしむ」との記載があり、1300年以上も前から、このような儀式が行われていたことがうかがわれる。

写真は代表的な神式による、地鎮祭の祭壇の風景。海の幸・山の幸・塩・米・酒等を神様にお供えし、玉串を奉げ拝礼を行う。特徴的であるのは、「地鎮の儀」とよばれる儀式で、「エイエイエイ」という掛け声とともに、設計者が鎌(かま)で盛り砂上部にある草を刈り、その後、施主であるお客様が鍬(くわ)で盛り砂に穴を開け、神主が土地のお守りとなる「鎮め物(しずめもの)」を埋設したのち、施工者が鋤(すき)で穴を埋めるという儀式である。

凜とした静けさのなかに響くその掛け声は、いつ聞いても心地がよい。地域によって多少の違いはあるものの、私にとっては、これからはじまるプロジェクトの無事の完成を祈る神聖な儀式となっている。

 
(株)ローバー都市建築事務所


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