ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
雑誌や新聞に掲載されている情報のご紹介をいたします。
きょうと空間創生術 [228]
京都市中京区三条烏丸にある複合商業施設「新風館」(旧・京都中央電話局)=写真。2001(平成13)年のリニューアルオープン以来、ピーク時には年間300万人もの来館者が訪れる人気のスポットとして、多くの人々により賑わいを創出してきた。レンガ造りの外観と烏丸通への連続アーチが印象的なこの建物は、逓信省の京都中央電話局として、1926(大正15)年に建設されたモダニズム建築である。
設計は、逓信建築の先駆者の一人、吉田鉄郎。その歴史的価値の高さから、83(昭和58)年に京都市登録有形文化財の第1号にも指定されている。
「きょうと空間創生術149」でも紹介したように、施設内にある「パタゴニア京都」の改装プロジェクトにも関わらせていただいたこともあり、個人的にも大変思い入れのある建造物である。
そんな新風館が先月27日、再開発のため、一旦閉館をすることとなった。計画によると、旧京都中央電話局の洋館はそのまま残しながら、新たに約190室のホテルを建築する内容となっている。洋館の東側に7階建ての建物を増築し、増築部だけでなく、洋館の地下にも2階を建設する計画であり、資料によると、地下2階部分は駐車場、地下1階と地上1階は店舗を集約し、2階より上層は洋館部分、増築部分ともホテルとして使用することとなっている。また、オープンスペースとして人気のあった、中庭エリアについても保存する方向で設計が進められいる。
新しい再開発である「(仮称)新風館再開発計画」は、今年着工し、3年後となる2019年中の完成を目指している。3年後に新しく誕生することとなる、「新・新風館」。より一層、人々に愛され親しまれる施設として、生まれ変わってほしいと願っている。