ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
雑誌や新聞に掲載されている情報のご紹介をいたします。
きょうと空間創生術 [227]
先日、京都市・東山「高台寺お茶所」として、新しく境内に開店した自家焙煎(ばいせん)コーヒーショップ「SLOW JET COFFEE 高台寺」を訪れる機会に恵まれた。2014年秋に東京足立区にオープンした「SLOW JET COFFEE」、昨年夏に岡崎・京都市動物園内にオープンした、「SLOW JET COFFEE IN THE ZOO」に続き、全国で3店舗目の開店となる。
高台寺は、豊臣秀吉の正室である北政所が秀吉の冥福を祈るため、慶長11(1606)年に建立した寺院であり、寺号は北政所の院号である高台院にちなんでいる。境内に新築された「高台寺 お茶所」は、京都市内と八坂の塔を一望することのできる高台にあり、遠くには京都タワーまで見渡せる。広い空と豊かな緑に囲まれながら、歴史と風を感じることのできる非常に心地良い立地条件となっている。
木造平屋建て瓦ぶきの落ち着いた外観デザインとは対照的に、店内は吹き抜けを中心に開放的な空間で構成され、高い天井をうまく利用しながら「和」と「モダン」を融合させた、スタイリッシュなインテリアデザインでまとめられている。店内66席の中には、テーブル席の他に、小上がり席もあり、更には眺めの良いテラス席と風景との連続性もよく考えられている。
私自身、さまざまなカフェに足を運ぶ機会も多いのであるが、巧みに周りのロケーションを取り込みながら、建築カフェ空間との連携を考え、活用するいう点において大変勉強になった。春のひととき、豊かないい時間を過ごすことのできたカフェ空間であった。