ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
雑誌や新聞に掲載されている情報のご紹介をいたします。
きょうと空間創生術 [223]
今月10日、京都市左京区岡崎にある「ロームシアター京都(旧・京都会館)」が2012年より約3年半の改修工事を終え、華々しくリニューアルオープンした=写真。1960(昭和35)年に開館した「京都会館」。設計は、日本近代建築の巨匠・前川國男によるものである。柱と梁の架構を骨太に表し、大ひさしやテラスと手すりなどにより水平性を強調したそのデザインは、50年以上を経た平成の現在においても、大胆かつ美しい外観を形成している。
「旧第一ホール」は4階バルコニー構造、約2000席の「メインホール」として改修が行われ、奥行きと高さのある舞台では、国内外のオペラ、バレエ、ミュージカル、演劇、伝統芸能など、さまざまな分野の大規模公演が可能なホールとして整備されている。もう一方の「旧第二ホール」は全716席「サウスホール」として整備され、組み立て可能な舞台床の採用、客席中通路より前部を舞台面として使用可能にするなど、表現スタイルの可能性が広がる、魅力的で自由度の高い空間として生まれ変わっている。また、「メインホール」の地下には、「ノースホール」が新設され、各種リハーサルの他、約200人の小ホールとしても使用ができるよう工夫がなされている。
その他にも、旧中庭部分は「ローム・スクエア」として、野外イベントの活用の場として再整備し、「パークプラザ(旧会議棟)」には書籍店と喫茶を融合させた、新しい感覚の滞在型空間やレストランがそれぞれ計画されている。
「世界文化都市・京都」「文化芸術都市・京都」における舞台芸術の拠点となる「ロームシアター京都」。再整備を終えた今、次の50年に向けた新しい「文化の殿堂」が誕生したのである。