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ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
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毎日新聞 2015年07月03日号

毎日新聞 2015年07月03日号
 

きょうと空間創生術 [210]

堀川に残る500年前の石垣

毎日新聞 2015年07月03日号京都市内の中心部を南北に流れる「堀川」。その歴史は古く、約1200年前の平安京造営時に開削されたのが、そのはじまりとされている。主に当初は大内裏(だいり)造営のために北山連峰の豊富な木材資源の運搬路として利用され、その後も近世まで、物資の運搬のほか、貯木場、農業用水や友禅染など京の人々の暮らしや産業を支えてきた「堀川」。現在では、2009(平成21)年に完了した「堀川水辺環境整備事業」により、人々が楽しむことのできる、憩いの親水空間として遊歩道が整備され、川には清流が流されている。

遊歩道を歩きながら石垣をみてみると、二条城にほど近い夷橋の北から二条橋の南までの西側の石垣が、他の奇麗な石垣に比べて、ごつごつとして積み上げられたようなデザインであることに気がつく(写真右側)。実は、この約230メートル間の石垣は、約500年前の1603(慶長8)年に完成した二条城の、築城時に造営された石垣が現在まで残されているのである。

当時、堀川は二条城の外堀としての役目も兼ねていたため、築城にあたり各国の諸大名が分担してこの石垣の造営にもあたっていたそうである。俗にいう「天下普請」という、資材の調達から普請工事までを諸大名に分担させて造営する方式が、この二条城でも取り入れられた。石垣をよくみてみると「是より北紀州」という作業分担をあらわす銘文や、様々な目印となるための刻印が彫られているのを見てとることができる。

堀川の川床に降り立ち、遊歩道を散策してみると、そんな歴史ロマンを身近に感じることのできる風景が、この二条城前には存在しているのである。

 
(株)ローバー都市建築事務所


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