祇園新橋地区にある京町家
京都を代表する花街・祇園。中でも、縄手通の東側、新橋通と白川に面する地域は祇園白川と呼ばれ、古くからある町家茶屋様式の建物が建ち並んだ情緒のある美しい町並みが形成されている。この辺り一帯は、京都市の伝統的建造物群保存地区にも指定されており、その町並みを守るため、保存活用についてはある一定の規制がかけられている。
先日、そんな祇園新橋にある一軒の和食料理店を訪れる機会にめぐまれた。白川 にかかる「巽橋」を渡り、石畳と千本格子の風景が美しい路地、切り通し通りを下がったところにある、「京都祇園 丹くろ」。京丹波町にある京丹波ワイナ リー、「丹波ワイン株式会社」がプロデュースする、今春オープンの和食とワイ ンのお店である。伝統的建造物に指定さ れ、もとはお茶屋であった建物をうまく再生した店内は、洗練されたモダン和風でうまく統一され、気軽に京都の和食と丹波ワインを中心としたワインとの新しい組合わせを楽しむことのできる空間となっている=写真。
ところどころに残された、京町家の土壁のたたずまいと、和紙照明デザイナー堀木エリ子氏による和紙照明の組み合わせは、シンプルでありながらも温かみのあるインテリアを形成し、京町家でありながら、今後の新たな活用の可能性を感じさせることのできる改装がなされている。
京都の中心部における、京町家保存活用を考えたとき、このような京町家再生事例は大変参考になる。昨今、取り壊しが進む、市内中心部の京町家。次世代へ伝えるための新たな知恵と工夫が、この祇園新橋地区にあるのかもしれない。
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