毎日新聞 2014年07月11日号


きょうと空間創生術きょうと空間創生術
 

ライカ京都店に見る町家再生法きょうと空間創生術

 先日、京都市東山区・祇園甲部歌舞練場前にある「ライカ京都店」に訪れる機会に恵まれた。国内7店舗目のライカストアとして、今年3月に開店したばかりの「ライカ京都店」。東京・銀座に続く2店舗目の路面店であり、国内におけるライカのフラッグシップ店としての位置づけがなされている。

 ライカといえば、160年以上の歴史を誇るドイツの老舗高級カメラブランド。築100年のお茶屋を再生した店内では、日本伝統の雰囲気を醸し出す店内に、ライカの現行製品がフルラインアップで取りそろえられ、ゆったりとした雰囲気が構築されている。坪庭や石灯籠(とうろう)もそのまま大切に使用されている=写真。2階部分には、元の町家の風情をうまく生かしながらも、大胆に小屋梁を見せた開放的なフォトギャラリーが展開され、明るく洗練された大空間が特徴的となっている。

 またこの「ライカ京都店」においては、京都の老舗企業とのコラボレーションも積極的に展開され「和とライカ」ともいうべき、独自の取り組みがなさ れていることも興味深い。例えば、店内の壁面やカメラバックには、西陣織の老舗「細尾」製のファブリックが使用されている。他にも、ポーチには、京友禅の老舗「千總」の京友禅柄シルク生地が採用され、京都の老舗「宮脇賣扇庵」の扇子に、ライカのクラシックなロゴをあしらったオリジナル扇子も店内で販売されている。

 数ある町家再生事例の中にあって、数少ない海外ブランドのフラッグシップ店。新しい京町家再生の可能性を感じると共に、異文化との親和性に改めて気づいた、ひとときであった。

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