毎日新聞 2014年05月30日号


きょうと空間創生術きょうと空間創生術
 

広小路商店街に誕生した「まちのば」きょうと空間創生術

 先日、福知山市・広小路商店街内にある、一軒のレトロビルを再生する機会に恵まれた。1969(昭和44)年に建設された、築45年の鉄筋コンクリート造り3階建て。もとも とは、「旧福知山信用金庫、広小路支店」として使用されていた建物の再生事例 となる。旧信用金庫の建物らしく、その造りは頑丈であり、内部には金庫室もある立派な建物であった。

 福知山広小路商店街といえば、かつては街の中心として、映画館が4軒も立ち並ぶほどの、北近畿屈指の活気溢れる商店街であった。近年、大型商業施設の建設や人口の減少により、往時のにぎわいはなくなっているが、近年、官民一体となって、その活性化が進められている。

 今回、福知山市中心市街地活性化基本計画の一環として、総務省の地域経済循環創造事業を活用し、新しく誕生した複合施設「まちのば」=写真。1階部分はレンタル可能な多目的スペースとしての整備が図られ、地域住民にコミュニティースペースを提供している。2階部分は古本とカフェを楽しめる空間「モジカ」。レトロ ビル特有の落ち着きのある懐かしい空間のなかで、ゆっくりとした時間を過ごすことのできるよう工夫がなされている。更に、屋上部分には緑化を施し、ウッドデッキを整備した「屋上ガーデン」として再生。屋外パーティーなどでの貸切 りにも対応可能なテラス空間となっている。

 ここ数年、広小路商店街では、特色のある飲食店や物販店舗が次々と新しくオー プンし、徐々にその活気を取り戻しつつある。新しい商店街の中核施設として、今後の「まちのば」の活躍に期待がかかる。

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