毎日新聞 2014年05月16日号


きょうと空間創生術きょうと空間創生術
 

KYOKA(旧京果会館)の再生事例きょうと空間創生術

 先日、京都水族館のある京都市・梅小路公園の北側、中央卸売市場に隣接して建つ 「KYOCA(旧京果会館)」を訪れる機会に恵まれた。昭和45(1970)年に、事務所や社員寮として使用することを目的に建設された地上5階、地下1階建ての「京果会館」も築四十数年が経過して新しく、その利活用方法が検討されてきた。今回の改装工事によって、「食」をテーマにした商業施設に新しく生まれ変わり、現代のライフスタイルに合った飲食店や物販のテナント約20店舗が入る予定となっている。

  フロアごとに、特徴のあるコンセプトが展開され、1階には市場から届く新鮮な食材のレストラン、2階にはこだわりの専門店、3階には、ワークショップやイベン トで人が集うことのできる多目的ホール。4階、5階は「食」に関連したSOHO型のレジデンススペース17部屋が、それぞれ計画 されている。

  写真は、完成間近の「KYOCA(旧京果会館)」。レトロなビルの雰囲気はそのままに、上品なデザインで外装がリニューアルされている。内部空間 に目を向けると、以前の会館で使用されていたドアノブや床材、カウンターといった、風合いのある建築部品がうまく転用され、ビルの記憶の継承に役立っている。

 近年、増え続ける、レトロビルのリノベーション再生事例。全国の青果物とその魅力をつむぐ人々が、「食とデザイン」をテーマに集い、学び、暮らせる場“KYOCA FOOD LABORATORY”。また、ひとつ新しい再生事例が、梅小路公園の北側に誕生することとなる。

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