醍醐寺にみる桜の美しさ
京都市伏見区にある、真言宗醍醐派総本山の寺院「醍醐寺」。伏見区東方に広がる醍醐山に200万坪(660ヘクタール)以上の広大な境内をもち、古都京都の文化財として、1994(平成6)年に世界文化遺産にも登録されている。境内には、府内最古の木造建造物である五重塔(天暦5=951年)建立)をはじめとして、金堂・三宝院等、6棟の国宝建築物が存在する。醍醐寺にある寺宝・伝承文化財は、国宝6万9419点、重要文化財6522点にものぼり、その多くは境内にある「霊宝館」に納められている。
また、「醍醐寺」といえば、慶長3(1598)年3月15日に開催された、豊臣秀吉による「醍醐の花見」が有名である。秀吉がその最晩年に、秀頼・北政所・淀殿らをはじめとして、諸大名配下の女房女中衆のみ約1300人を招待した盛大な催しであり、北野大茶会と並び、秀吉一世一代の大イベントであった。応仁の乱により荒廃していた境内は、伽藍(がらん)、三宝院殿舎・庭園の再整備により見事に復興され、約700本もの桜が、当時「花見」のために、畿内や紀州から移植されたと伝えられている。この約5か月後、慶長3年8月に秀吉は没することとなる。
先日、普段は非公開となっている「霊宝館庭園」にある夜桜を見る機会に恵まれた。満開のしだれ桜が見事にライトアップされたその美しい姿は、幻想的でもあり、感動に値するものであった=写真。醍醐寺境内に満開に咲き誇る、桜の風景にかこまれながら、秀吉の見た風景もこのような桜の風景であったのかもしれないと、歴史の重みを感じながら過ごした素敵な4月の一日であった。
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