毎日新聞 2013年10月04日号


きょうと空間創生術きょうと空間創生術
 

都市ストック空間の現代的活用 きょうと空間創生術

 先日、五条通に面した一軒のCafeを改装する機会に恵まれた。五条大宮交差店を西に入った北側にあるそのcafeは、「cafe PARADICE GARAGE」と名付けられ、交通量の多い五条通りにあって、人々の目にもよくわかる場所に位置している=写真。寺院の僧侶が自ら、マスターをつとめるこのcafeは、カウンター席3席とテーブル席4席が配置され、会話を愉しみながら仏様のおはなしも聞ける「僧侶カフェ」としての計画がなされている。

きょうと空間創生術 6坪ほどの小さな面積ではあるが、天井高さは約4メートルあり開放感のある素敵な空間としての活用を試みている。もともと、このスペースは内装クロスの倉庫として使用され、その後、店名が示す通りガレージとして改装前まで使用されていた。店内には天然木のフローリングを使用し、憩いとぬくもりの空間を構築するとともに、落ち着いて語らうことのできる居心地のいいcafe環境の創出をこころがけた。
また、外部デザインに関しては、五条通の騒がしさが店内に影響を及ぼさないように配慮するとともに、街路に対してその雰囲気の良さを効果的に伝えることができるよう、サイン計画にも工夫がなされている。

 このような都市中心部において、既存ストック空間を、人々が集い語らう魅力ある空間に変貌させていくことは、都市の活力向上という面からも有効な手段である。そういった意味においては私たちにとっても単なる店舗改装にとどまることなく、マクロ的な視点をもって、改装プランを計画することのできた有意義なプロジェクトであった。

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