新感覚のマンションリノベーション
先日、京都市左京区下鴨にある、一軒の分譲マンションを改装する機会に恵まれた。昭和59(1984)年に建設された「ルネ下鴨東」は、下鴨というその立地や環境の良さから、築29年を経過した現在でも多くの人々に人気があるマンションである。総戸数196戸という大型のマンションには、さまざまな人々が集い住み、管理組合を中心としてきちんとした手入れが行き届いている。
今回、新しくこの「ルネ下鴨東」を購入された若いご夫婦は、従前の単調な3LDKの間取りを一新して、開放感のある明るい居住空間へのリノベーションをご希望されていた。住戸専有面積66平方メートルという限られた空間のなかで、将来における家族構成の変化に伴い、間取りを自由に変更することのできるフレキシブルな計画が必要とされていた。スライド式の可動間仕切りや、収納家具によって間取りの一部分を構築することにより、手軽に各居室に将来への拡張性を持たせることが可能とした。また、各部屋への入り口をドア1枚に限定せず、壁面全体を大きな引き戸とすることにより、家具の配置が自由にできる自由度の高い居室が実現した。
リビングダイニングにおいては、キッチンを取り込みながら、大きく一室化を図り、開放感のある室内空間を計画。床は天然木無垢フローリングに床暖房、壁・天井面は塗装仕上げとし、自然素材を身近に感じる、落ちつきのある居間スペースとなっている=写真。また、梁・柱の部分を有効に照明や収納スペースとして計画する事により、全体として洗練された温もりのある明るいリビングスペースを構成する結果となっている。
これからますます増えていくであろう、中古マンションの改装事例。今後において大変意味のある素敵なリノベーションプロジェクトであった。
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