100歳のお誕生日会
「きょうと空間創生術76」でも紹介した、四条西洞院(京都市下京区)にある「四条京町家」。四条通の北側に位置する美しい表屋造りの京町家は1910(明治43)年に建造された当時のスタイルをそのまま伝える。内部には現在も焚(た)き火を焚いて使用可能な” おくどさん”の他に、昔懐かしい五右衛門風呂や水琴窟(すいきんくつ)もあり、先人の暮らしぶりを肌で感じることのできる貴重な建物である。
本年3月までは、「京都市伝統産業振興館」として、京都市により保存が図られてきたこの京町家も、私自身も理事を務める特定非営利活動法人「四条京町家」の運営により、その再活用が進められている。1階のテナント部分には「アミタ株式会社」(左京区)が運営する観光コンビニ「京都クラフトマート」、2階部分は京都旅行の企画プロデュースを行う「株式会社らくたび」(中京区)が入居し、民間活力を導入しながら魅力ある施設として生まれ変わろうとしている。
写真は今月4日に開催された、「四条京町家築100周年」記念イベントのワンシーン。 床の間の横に飾られた棟木に記入されているその日付は「明治43年6月4日」。ちょうど今から100年前にあたる1910年にこの京町家が建造されたことを物語る生きた資料でもあり、有志でお誕生日会を行った。
今から100年前の明治43年といえば、京阪本線の大阪天満橋−京都五条間が開業し、ハレー彗星(すいせい)の尾の中を地球が通過したといった年でもあった。当時の四条通は、現在の3分の1程度の幅員であり、その後の大正時代に南側が拡張され現在の幅員となってい る。ともあれ、世代を越えて、京都の歴史と共に過ごした100年間。これからも元気なその姿を後世に伝えていってほしいものである。 |