毎日新聞 2009年11月6日号


きょうと空間創生術きょうと空間創生術
 

1200年の時を超えたそれぞれの都きょうと空間創生術

先日、京都市の友好都市でもある中国・西安市を訪れた。現在、約800万人が暮らす。 古くは「長安」と呼ばれ、何代もの中国古代王朝の首都となっていた歴史都市である。紀元前から都として歴史を刻んだ古都である。

794年(延暦13)に桓武天皇により、造営された私たちの「平安京」も、当時の唐の都「長安」をそのモデルとして建設されている。「条坊制」と呼ばれる都市プランの手法は、中央に南北を貫く大通り(朱雀大路)を配しながら、碁盤の目のように南北方向と東西方向に大路小路を方形に組み合わせていくものだ。

都市の北側に天子の宮城(大内裏)を計画しているところや、河川を巧みに配置しているところも、平安京が長安をまねたようで興味深い。

写真は西安中心部にある、「鼓楼」。明の時代であった1380年に建造されたという。鼓楼は、市民に時を知らせる太鼓を打つ。「鐘楼」と並ぶ、大切な施設であった。今は歴史的建造物として広く市民に親しまれている。

「文武盛地」と掲げられた額は、文字通り文武両道が盛んな場所であるという意味である。夜間は金色にライトアップされ、「文武盛地」のあふれる活気を肌で感じることのできる。

約1200年前に「長安」をモデルにして、建設された私たちの「平安京」。二つの都はそれぞれの歴史を歩んでいくことになるのであるが、1200年の時を超えた今、再び「長安」の街づくりを見習ってみる機会があってもいいのではないかと思ったのである。

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