京都再生 新時代
京都市東山区八坂神社前、祇園交差点を西に入った北側。1981年の開館以来、長年ににわたり観光客向けの施設として親しまれてきた、「(旧)京都クラフトセンター」。昨年の1月まで、60をこえる工房が直接運営するショップ&ギャラリーとして、陶磁器や染織、扇子など京都の工芸品が展示・販売されていた。
そんな、「(旧)京都クラフトセンター」が装いも新たに、「侘美座」という施設に新しく生まれ変わり、リニューアルオープンした。元設計は後に京都近代美術館も手がけた槇文彦氏。四条通から6m後退し前庭を設けたビルの表情は、28年経っ
た今も特徴的な地上4階建ての名建築である。
1階には京都の伝統工芸品を販売する小物ショップ、2階に宇治茶で人気の茶寮「都路里」があり、開店以来多くの人々で賑わっている。3.4階には全室スイートルームの宿泊施設「KIZASHI THE SUITE」があり、伝統美と個性を織り交ぜた上質の京都が洗練された空間と共存している。
四季を感じるエントランスから、路地空間を彷彿とさせる個性的なアプローチ空間をくぐり抜ける。写真は開放感のある寝室と、伝統的な和室が融合した客室の内部。京都で過ごす贅沢な時間が、静謐なスイートルームとともにここにある。浴室には高野槇風呂が設置され、炭酸泉が引き込まれている。都会にありながら、リゾートを感じさせる改修設計手法はこれからの一つの最先端事例としての可能性を感じさせる。
いつの時代も「和」の最先端でありつづける、京都祇園。新しくなった名建築に、京都再生への新時代を感じることができるのである。
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