懐かしいのに新しい
刻々と変化を続ける現代社会において、私たちの中で、昔も今も変わらないもの があるとするならば、それは一体何であろうか。車も電話もなかった時代から、 普遍的に変わらずあるもの。人によって思い浮かべるものは違うであろうが、愛 情や優しさ・温もりといった、人間が本質的に備えている良い部分の感情は、昔 も今も変わらない。
19才の春の夜、キャンプファイヤーの熾火(おきひ)の中で興味深い話を、先輩 の指導者から教わった。ドイツの社会学者テンニースが唱えた、社会類型「ゲマ インシャフト(共同社会)」と「ゲゼルシャフト(利益社会)」。現代社会は 「ゲゼルシャフト」という何らかの利益関係の為に、作為的に形成された機械的 組織体であるのに対し、本当に必要なのは、「こころの繋がり」ともいうべき 「ゲマインシャフト」。すなわち、人間に本来備わる本質意志によって結合し た、有機体的組織体が大切であると。
消えゆく火を見ながら、現代という時代こ そ、インパーソナルで打算的な人間関係よりもパーソナルで親密な人間関係が重 要であるという話が、今でもこころに残っている。たき火を見て心が和む思いを するのは、私たちが本来備えている、本質的な感情が呼び起こされるのかもしれ ない。
写真は、北山にあるセレクトショップ「NEOMART VintageStyle」のインテリア コーナーディスプレイ。家具には、'60年代から、今も変わらないデザインで愛 され続けている「カリモク60Kチェア」を選定。シンプルで品質が良く流行に左 右されない、ベーシックなデザインには、時代が変わっても飽きのこないぬくも りがある。
自然なこと、やさしいこと、あたたかいこと。そうした、普遍的なこ とを新しく考えてみることも大切なのではないだろうか。
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