ローバーが設計した「麩屋柳緑」が「人気店舗デザイン年鑑2022」に掲載されました。
温故知新
築100年の京町家をリノベーションしたプロジェクト。物件が面する「麩屋町通」は老舗が多く集まり、新しい物を受け入れながらも伝統的な美や歴史を重んじている印象がありました。ファサードにはかつての商家がそうしていたように幕と暖簾を設置し、通りが持つ雰囲気をできるだけ壊さないように配慮しています。1Fには茶葉や茶器といった繊細な商品をシンプルで力強く展示するために銅の塊のような島什器を並べました。2Fでは建設当時から残っている土壁と現代的な白い壁を銅の幕板で分かち、新旧入り交じる築100年の京町家でしかできない空間づくりを目指しました。各所に使った銅板の経年変化とともにゆっくりとこの地に落ち着いてくれればと思います。
株式会社ローバー都市建築事務所
麩屋柳緑の建築デザインは、大正~昭和初期の築100年ほどと想定される京町家をリノベーションするため、京町家のリフォームを多く手掛け京都の建築を熟知されているローバー都市建築事務所に依頼しました。内装は日本茶の歴史と同じようにこの京町家が紡いできた歴史を残しながら、若い世代にも気兼ねなく入店頂けるようなモダンで整然としたデザインを依頼しました。完成した店内は町家の特徴である大和天井、土壁をそのまま活かし温かみを残しながら、銅板など様々な素材で遊ぶことで麩屋柳緑でしか表現できない和モダンな空間が誕生しました。
特に両社でこだわった点は、店内に設置されている白いカウンター。生産者に頼み南山城村の茶葉を取り寄せ樹脂に混ぜ込んだ「茶葉カウンター」としてストーリー性を持たせました。
また2Fの日本茶カフェは全席15名様のクローズドで特別感のある雰囲気を演出するため、上質なお茶・スイーツが主役となるよう極力シンプルで且つ高級感漂う空間にしました。日本作家の器、京都の盆栽、中庭、銅茶筒など、いたるところで目に入るアイテムにもこだわりました。
株式会社セイムペイジ/栗原元哉