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毎日新聞 2018年02月23日号

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きょうと空間創生術 [272]

「元・立誠小学校にあるカフェ空間」

 京都市中京区木屋町蛸薬師にある「元・立誠小学校」。1869(明治2)年に下京第六番組小学校として三条河原町に開校した立誠小学校が、河原町通の拡幅に伴い、現在の校地に移転したのは、1928(昭和3)年のことである。当時の小学校としては最先端の、鉄筋コンクリート造り3階建ての校舎。ロマネスク様式のデザインが美しいこの建物は、93(平成5)年の閉校後も、さまざまなイベントに活用され、多くの市民に愛されている。

 先日、そんな「元・立誠小学校」の職員室を活用したカフェ「トラベリングコーヒー」=写真=に訪れる機会に恵まれた。立誠小学校のアーチ型の玄関をくぐり真正面にあった職員室。当時の黒板や、床板・窓枠もそのままに保存され、レトロな雰囲気の中、おいしいコーヒーが楽しめるカフェとして活用されている。店内で使用されている、椅子やテーブルも全て校内で使用されていたものを再利用。理科室にあった机や音楽室の机など、うまくレトロ空間になじんでいる。

 昨年、京都市が発表した「元立誠小学校の跡地活用」。計画によると、新施設は「(仮称)ザ・ゲート立誠京都」と呼ばれ、敷地西側に地上8階建て、全200室のホテルをメインとした建設計画が進められている。現在の旧校舎は耐震補強工事を行いながら保存・再生が図られ、外観や内装をうまく生かしながら、新しい施設として活用される予定となっている。

 現在、すでに建設工事は始まり、この「トラベリングコーヒー」の営業は3月10日までとのこと。京都市最古の鉄筋コンクリート造りの校舎でノスタルジックなひとときを過ごすことができた、貴重なひとときであった。