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毎日新聞 2018年02月09日号

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きょうと空間創生術 [271]

「デルベ京都本店の世界観」

 先日、京都市中京区麩屋町蛸薬師角に新しく移転オープンした「ボディケアショップ」を設計する機会に恵まれた。化粧品の輸入販売を行う日東薬品工業が販売する、イタリア・フィレンツェ生まれのボディケアブランド「Derbe(デルベ)」。

 16世紀に、フィレンツェの名家・メヂチ家に仕えていた薬草組合によって記されていた、ハーブレシピを参考に開発された商品は、季節の花々や果実のエキスをブレンドすることで生み出される「香り」が特徴的で、現在はヨーロッパを中心に11カ国で展開されている。日本では唯一となる直営店の京都本店が、装いも新たに新春よりオープンの運びとなった=写真。

 トスカーナ州の州都でもあり、ルネサンス発祥の地として知られる歴史都市"フィレンツェ"。英語名では、「花の都」を意味する"フローレンス"と呼ばれ、「屋根のない美術館」と称されるほど、中世の趣を今にとどめる美しい街である。

 明るい日差しが差し込むガラス張りの店内には、フィレンツェの大聖堂(ドゥオーモ)をモチーフとしたオレンジ色の折り上げ天井を計画し、随所にアイアンやアンティークタイルを取り入れることにより、デルベブランドの世界観を表現している。床材には、イタリア語で焼いた土という意味を持つ、テラコッタタイルを採用し、店内の調度品とあわせて、フィレンツェの雰囲気を感じることのできる空間となるよう計画がなされている。

 すてきな物販店舗の設計を通して、フィレンツェに思いを寄せながら、大きな世界観を表現することのできた、印象的なプロジェクトであった。