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西陣 KH邸 町家改修工事〜失われた伝統美の記憶〜

 

■改修後外観 京町家が本来持つ、洗練されたデザインを現代的に再定義。
漆喰と黒色ベンガラによる対比

京都西陣にある築90年の
京町家とも呼びがたい織屋建の木造家屋。
創建当時の端正な面影は、
度重なる無秩序な改装で、もはや見る影もない。
そんな、失われた記憶を取り戻すべく、
KH邸の再生計画は始まった。


ベンガラ格子に虫籠窓。漆喰壁に瓦屋根。そんな、町家の風情を構成するエレメントはことごとく荒廃し、心ない改装により、原型をとどめることのできない織屋建の京町家。そんな京町家に救いの手が差し伸べられたのは、京都市との二人三脚からのスタートであった。

「千両ケ辻界わい景観整備地区界わい整備計画」この制度を利用し、景観整備補助金の交付を受けながらKH邸の再生計画は行われた。

西陣界わいの景観建造物との調和と協調。特色ある景観を維持・増進していくための修景プランが要求された。伝統美を現在に映し込む”かたち”の表現。私たちは、”町家”が本来持ち合わせる、優美なフォルムに着目し、細部にまでその精神性を表現することに主眼をおいた。

今回新たに、黒色ベンガラを採用し、全体的にモダンな色彩計画を行っている。また、骨董品業を営むクライアントのために全開放が可能な千本格子を考案し、階段箪笥等、大型家具の搬出入に配慮した設計をおこなった。電気メーターやエアコン室外機の他、郵便受や玄関照明に至るまで工夫を施し、現在に伝統美を投影した。

こうして、新しく息吹を取り戻したKH邸は、ひとつの調和と協調を創出し、まちに開かれた”かたち”として、再び西陣の地の”かたち”となっていくことになるのである。

(野村)

 

所在地: 所在地 京都市上京区寺之内浄福寺中猪熊町
主要用途: 店舗付き住居(骨董店)
設計: (株)ローバー都市建築事務所 担当 松村隆孝
施工:
建築工事: よしさか工務店
構造・構法: 主体構造・構法 木造伝統工法
規模:
地上2階建 1階部分
改装面積 50.00 u(15.12坪)
改装工事費 約680万円(うち市整備補助金300万円)
工程:
設計期間/ 2005 年02 月〜 2005 年07 月
工事期間/ 2005 年08 月〜 2005 年11 月
敷地条件:
準工業地域 準防火地域
道路幅員 市道 北側6.0m
外部仕上げ:
屋根/ 日本瓦(淡路いぶし)葺 棟熨斗5段丸瓦積
外壁/ 漆喰仕上げ 及び 焼杉板貼t15.0
千本格子/ 黒色ベンガラ塗装
設備システム:
空調 冷暖房方式 / ヒートポンプ式エアコン
給排水 給水方式 / 直結給水
排水方式 / 公共下水道放流
給湯 給湯方式 / ガス式給湯器
主な使用機器:
照明/DAIKO 他 アンティーク照明(USED)

■外観斜景
エアコンの修景には黒色園芸ネットを採用


■改装前外観
度重なる無秩序な改装により荒廃した状態


■外観夜景
洩れ出す明かりと街路の優美な調和


■外観全景
側壁には焼杉板を使用


■格子詳細
折戸形式設計により全開口が可能

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