施工事例

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【上京区寺之内YB HOUSE】〜3+1の"en"が織りなす、光のアンサンブル(ensemble)〜

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施工事例<上京区寺之内YB HOUSE>写真

秀吉による京都改造によって京都寺町と同時期に形成された寺院町「寺之内」。そんな、寺之内の一角にあり、日蓮宗総本山妙顕寺の東隣にある、路地奥の一軒家。縁側を全面にもつ2階建ての木造家屋は、すでに家の主人を失ってから年月も経ち荒廃が進んでいた。

オーナーが変わり、この荒廃した家屋の再利用を望んでおられたクライアントからの最初の言葉は、「なんとかなるでしょうか?」との不安げな質問であった。部分的に雨漏りもひどく腐朽している部分もあったものも、幸いにも、建物本体への損傷は進行していない。外科的療法ともいえる、腐朽部分の再構築を基軸に据えながら、再生計画はスタートした。

再生にあたり私たちは、縁側空間に着目。荒れ果てた庭に面して、桁行き方向に大きな縁側空間が存在している。これに軸線を合わせ、外廊下を第2の"en"として、さらにアプローチを垂直軸にとり第3の"en"として計画したのである。3つの"en"は庭を取り込みながら、互いに重なり呼応する。いわば、三重奏ともいうべき光のアンサンブルを、YB HOUSEの解法と位置づけ、再生計画を行った。

この解法の導入により、座敷・玄関・キッチン・水回りとすべての部分において、劇的に変貌するリフォームプランが可能となる。闇とほこりで覆われていた、かび臭い室内空間は、光と風が通り抜け、和みを肌で感じる心地よい空間へと再生が可能に。さらに、階段室を介しながら、その再生コンセプトを2階ホールに引き上げる。解放性が開花するステージとして、2階ホールの定義付けを行い大空間を設計した。古材と古建具を積極的に再利用し、船底天井とペンダント照明が印象的な2階ホールは、簡単な演奏会も行える小ホールとしての機能も内包することとなる。

今回使用した、古建具は実に14カ所を数える。玄関ドア・下駄箱の扉・障子に至るまで可能な限り古建具の買い付けを行い、設計に落とし込んだ。歴史を重ねて、刻み込まれた独特の風合いは建物全体の風格の向上に寄与する結果ともなっている。

本来、クラッシック音楽における、三重奏というものは、高音部旋律(バイオリン)・低音部旋律(チェロ)・伴奏(ピアノ)を指し、アンサンブル的には最低限の要素しか持ち得ない。すなわちピアノ四重奏から内声を担当するヴィオラを意図的に欠いた編成とみなすのが分かりやすいのである。

では本計画における、内声ともいうべき大切な第4の"en"とは。

それは、私とクライアントだけの大事な25年間の"en"なのである。

建築場所 京都市上京区寺之内
構造・階数 木造2階建
用途 住宅
敷地面積 112㎡(33.88坪)
施工面積 103㎡(31.16坪)
竣工年 平成20年(2008年)
建物工事費(税別) 1350万円(43万円/坪)
 
(株)ローバー都市建築事務所


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