Published 〜メディア掲載情報〜

ローバー都市建築事務所の設計物件や、弊社代表の野村正樹が執筆するコラムなど、
雑誌や新聞に掲載されている情報のご紹介をいたします。

毎日新聞 2017年09月08日号

毎日新聞 2017年09月08日号
 

きょうと空間創生術 [261]

「京仏具店の旅の宿」

毎日新聞 2017年09月08日号 先日、京都市下京区の東本願寺かいわいにある、一軒のゲストハウスを改装する機会に恵まれた。「田中極楽堂ゲストハウス」というその旅の宿は、その屋号が示すとおり、1921(大正10)年創業の老舗仏具店「田中極楽堂」が運営する、新・形態のゲストハウスである。

 この辺りは、七条通を中心に、古くから多くの仏壇仏具店が軒を連ね、全国各地・各宗派からたくさんの信者が訪れている。また、京都駅北側エリアには古くからの旅館も多くあり、そういった意味で、「仏具店×旅の宿」といった今回の組み合わせは、興味深い。

 入り口には大きな仏像がライトアップをされながら幻想的に安置され、施設全体のシンボルとなっている。館内においても、さまざまな仏像やびょうぶが全体的にモダンにディスプレーされ、海外から訪れる観光客に仏教のもつ世界観をなんとなく感じてもらうことのできるような演出がなされている=写真。

 さらには、工事中に偶然発見されたという、オーナーの祖母が、幼少期に毛筆で書いた明治時代の「繪集帳(お絵かき帳)」を玄関ロビー部分に展示。一枚一枚の絵の美しさをうまく生かしながら、バランス良く配置構成を計画することにより、その鮮やかな色彩と毛筆で書かれた柔和な雰囲気が来訪者の目を楽しませるよう、工夫がなされている。

 海外の人々にとって、私たちが親しんでいる仏教の世界観は、日本的もしくは東洋的なものとして映ることもあり、むしろ新しく感じられる。

 屋上には京都タワーを至近で望むことのできる、屋上テラスも計画。共有の談話室やキッチンとともに、他のゲストとも積極的に交流ができる宿泊施設としての設計も行っている。全6室からなる小さなゲストハウスの改装設計ではあったが、さまざまな工夫を行い印象に残るプロジェクトとなった。

 
(株)ローバー都市建築事務所


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