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点字ブロック代わりになぐり仕上
ただし町家には、通り庭と座敷の間など、もともと多くの段差が存在する。これをどうするのか。奥本氏と野村氏は、「大工事をして段差をなくし、町家の雰囲気を壊すより、はっきりした段差は残してそこを上り下りすることで機能回復の手助けにしよう」と考えた。
その上で、階段の勾配を緩やかにし、要所に手すりを設けたほか、点字ブロックの代用品として段差部分に木のなぐり仕上げを施した。ほかにも、将来的に必要が生じた場合には、2階へ上がるリフトを設置できるように電源や下地を準備するなど、バリアフリーに配慮した。
目を引くのは、高齢者が歩きやすいようにと拡幅した縁側空間だ。古材を継ぎ足したので新旧の境は目立たない。野村氏は、「町家の本来の美しさ、暖かさを最大限に生かす改修を試みた。なかでも、日だまり空間に着目し、坪庭の一部に居間と連続するテラスを新設し、拡幅した縁側とつなげた。荒廃していた中庭も再整備し、庭を眺めながらひなたぼっこできる空間とした」と話す。
続き間の和室などがある1階は、主に「通い」に対応した空間だ。傷みが激しかった床を張り直し、和室をつなげてフローリングの台所と食堂に改修した。2階は宿泊場所となる。和室を水まわりに改修したほか、5部屋の和室を宿泊室や休憩室に復元改修した。敷地奥にある既存の蔵の一つは、地域の住民が利用できるように多目的ホールへと改修した。
利用者にとっても、畳での生活は心地よいようだ。あるスタッフは「近代的なハコ型施設だと、利用者は半日もすると『帰りたい』と訴えがち。しかし、ここでは町家の雰囲気がなじむのか、利用者は落ち着いて過ごしている」と教えてくれた。
奥本氏は、「この町家を選んだもう一つの理由は、商店街の中にあること。生活に密着していて買い物にすぐ行けるし、商店街の人たちと人間関係を築けるという期待もあった」と話す。効果は表れ始めており、11月初めに行った秋祭りでは商店街の全面的な協力が得られた。
建物の正面には、かつてあった鉄柵の代わりに、京町家独特の縁台「ばったり床几」が新設された。地域との自然な交流を育てたいという関係者の思いが、再生した町家のファサードに込められていた。
※「小規模多機能型居宅介護施設」の利用は登録に基づき、利用者は介護度によって異なる月当たりの利用料を支払う。一事業所の登録定員は25人以下で、「通い」の定員はおよそ15人以下、「泊まり」の定員は5〜9人程度。各市町村は「中学校区に一つ」といった整備目標を掲げ、それぞれの権限で事業者を指定する。
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