毎日新聞 2007年02月23日号



「新景観論争 夜明け前」

 最近、身の回りの動きが慌ただしい。京都市が、新年度の早い時期に導入を目指している新景観政策に伴う動きがあちこちで始まっている。現在市議会では、京都らしい景観について様々な規制を行うため、建築物の高さや屋外広告物の規制を強化するための関連条例案が審議されている最中である。

  一昨年に施行された景観法により、地域主導型による良好な景観の形成が可能となった。建物と屋外広告物との連携も図られ、地域の個性を伸ばすような多様なまちなみを創出できるようになったのである。

  京都市中心部の「田の字地区」には、現在、高さ45bという建築物の高さ制限が設けられている。「空地を設け、都心部の手狭な街並みに憩いの空間をつくりたい」として公開空地を条件に高さ規制を緩和する、市の「総合設計制度」を活用し、高さ60bの京都ホテルの改築工事が行われたのは、94年であった。

  当時、宿泊者に対する、京都寺社仏閣の拝観拒否にまで発展した「景観論争」はまだ記憶に新しい。更に、「特定街区」という都市計画法上の手法を利用し、31bの高度地区に高さ59.8bの新京都駅ビルが開業したのが、97年。そして07年、「田の字地区」の45b高度地区は31bに引き下げられる予定である。

  今回の改正においては高さ規制の強化の他にも、景観地区や風致地区のデザイン規制の見直し、眺望景観や借景の保全、さらには世界遺産等周辺の風趣の保全も予定されている。早くも、新景観条例の制定をふまえ、行政とは様々なやりとりが交わされている。表面的に「和風もどき」となりがちな、市の景観指導と積極的に協議を重ねながら、歴史都市京都の保全・再生・発展をめざして真剣に議論している。

  写真は、先日設計した、「西の京のいえ」。次の世代へ引き継ぐため、どのような手法で京都の美しい景観を維持し、品格を保っていくのか。山紫水明の自然と歴史ある街並みを未来へとつなげる、大事な場面に、今、私達は直面しているのである。

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