日経ビジネス ASSOCie 〔アソシエ〕 2002.11


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 □■ 掲載記事 □■

江戸末期からの京町家を
リフォームして快適生活


 江戸末期から残る京町家(西陣にある17坪の織屋建)を2年前に借り、リフォームしたのが建築事務所に勤務する北川文太さん(32)だ。
 繊維産業の衰退、生活様式などの変化で町家が空家になっており、町家風カフェやブティックが増えるという近年の「町家ブーム」がしばしば伝えられているが・・・。
「単に流行を意識して町家にこだわったのではありません。純粋にホッとできる空間が欲しかったためです。木造はコンクリートのような無機質さや圧迫感を感じさせないですし、基礎がしっかりしているから好きです」
 5年間空家だった状態は想像以上にひどかった。「そんなボロ家でも素材や空間の性質をそのまま生かしたかった。しかし町家を残すという使命感ではなく、使える物は使おうというスクラップ&ビルドの考え方」で自ら設計し、修復は友人らと行い人件費を浮かせた。
 材料は知り合いから安く購入し、改装費は約400万円に抑えた。知人の紹介で借りた物件のため、敷金・礼金・更新料が無く低家賃であるのが嬉しい。10年住むと仮定すれば改装費を含めても、賃貸アパートと同等か、むしろ安くあがるはずだ。
 もともとは機織り工房と住居が一体になった造り。その職住一体型の性質を残しながら現代的に見事に変化させた。住居の中に古さと新しさの2面性がある。
 機織り場だった場所は、家族との時間を共有する開放的な居間として使用し、閉鎖的な3畳の和室を書斎とした。これにより仕事への集中度が高まり、効率は上がった。
 書斎にこもって仕事に没頭した後、居間の吹き抜け空間に一歩入れば、梁や天窓など所々に見える歴史が心を落ち着かせてくれる。
「住まいにこだわりを持つことで、無味乾燥に陥りがちな生活に、面白みや潤いを加味したい。これは自分の仕事上でのポリシー。"住"を通して生活の質を高めたい」



北川 文太 (きたがわぶんた・32才)
ROVER都市建築事務所 建築デザイナー


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