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2012/10/26(Fri) 11:16:22

京都の文化を五感で感じる

 先日、四条花見小路下ル、祇園甲部歌舞練場前にある「津田楼」を訪れる機会に恵まれた。

 元々はお茶屋であった、歴史のある京町家を改装して、現在は、歴史ある京の文化・日本の文化を五感で感じることのできる施設として、装いも新たに平成22(2010)年にリニューアルオープンしている。

 幕末の頃より、四条川端にてお茶屋を営んでいた「津田楼」は、大正2(1913)年、現在の場所に移転し、以来約100年間この地で歴史を重ねている。1階部分の大座敷はレストランバーとして改装され=写真、軽食から懐石料理まで幅広く「食」を愉(たの)しみながらくつろぐことのできる空間として上質なしつらえが施されている。メーンカウンターには樹齢500年のケヤキの一枚板が使用されており、古いお茶屋の雰囲気をうまく生かしながら落ちつきのあるモダン和風のスペースが構築されている。

 また「津田楼」では、美術品を間近で鑑賞することのできる講座や古筆を楽しむ教室など多彩なイベントや文化サロンが開催され、日本の文化や伝統の良さを肌で感じることのできるさまざまな情報発信が四季を通じて行われている。また館内には、日本で初めて幕末・明治の金工、七宝、蒔絵(まきえ)、京薩摩を常設展示した美術館として知られる清水三年坂美術館セレクトによる古美術品が展示・販売され、繊細な名品の世界を身近に楽しむことができるようにもなっている。

 京都の伝統的な建物をうまく再生しながら京都の文化を現代に伝える。お茶屋であった京町家にたたずみながら、京都の風情を五感で感じることのできたひとときであった。

(毎日新聞京都版 きょうと空間創生術145)

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2012/10/26(Fri) 11:16:22 | コラム | Trackbacks(0) | Comments(36)
2012/10/12(Fri) 10:49:14

昭和の名庭 余香苑

 写真は、「妙心寺 退蔵院」内にある、庭園「余香苑」。前号の「京都空間創生術143」でご紹介した、枯山水庭園「元信の庭」と並び、退蔵院を代表するもうひとつの庭園である。

 今年のミシュラングリーンガイドジャポンでも、二つ星を獲得したこの庭園は、昭和の小堀遠州ともいわれる造園家・中根金作氏による設計で昭和38(1963)年に着工し3年の年月を費やして完成された。もともとは方丈庭園裏の背景となっていた竹林が、寿命を迎え、枯死してしまったため、あたらしく庭園として整備されたものである。

 約790坪もある庭園の敷地に足を踏み入れると、左右にそれぞれ「陽の庭」「陰の庭」と名付けられた枯山水の庭があらわれる。さらに、水琴窟のあるつくばいの脇を進み、坂を奥へ下りていくと藤棚付近へたどり着く。ふと立ち止まり、振り返るとそこには優雅で彩り鮮やかな素晴らしい風景が一面に広がっている。敷地の高低差と奥行きを巧みに利用しながら、随所に工夫の凝らされたその風景は、まさに「昭和の名庭」の名にふさわしい。

 サクラとツツジの大刈込みの間から三段落ちの滝が流れ落ち、深山の大滝を見るような風情が演出され、特に滝組石には方丈の枯滝石組の伝統的な手法が盛り込まれている。また、四季を通じて、美しい風景を鑑賞できるよう、サクラやモミジ、キンモクセイが植えられており、伝統的な造園手法を基調としながらも、江戸時代までの禅宗の寺院には見られなかった軽妙さが演出されている。

 大本山妙心寺の塔頭として600年の時を経て人々に愛され続ける退蔵院。花園の地で改めて京都の奥深さに触れることのできたひとときであった。

(毎日新聞京都版 きょうと空間創生術144)

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2012/10/12(Fri) 10:49:14 | コラム | Trackbacks(0) | Comments(34)

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