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2008/09/14(Sun) 17:10:13

「路考茶」で彩る門前の街並

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北区紫野にある禅宗寺院「大徳寺」。正中2年(1325年)に創建されたこの臨済宗大徳寺派の大本山は、京都でも有数の規模を有している。境内には仏殿や法堂の他に、20を超える塔頭が立ち並び、近世の雰囲気を今もなお残し続けている。室町時代には「一休さん」でおなじみの名僧一休宗純も輩出し、以後茶の湯文化の中心的存在として、武野紹鴎、千利休をはじめとした多くの茶人が参禅することともなる。

そんな大徳寺総門の門前に、一軒のカフェを設計する機会に恵まれた。旧大宮通りをはさんで向かい側に位置するこの「CAFE DU MON」には、参拝者の憩いの空間であると同時に門前にふさわしい現代的な新しいカフェスタイルであることが求められた。ただし、この大徳寺の周辺地域には風致地区という厳しいデザイン規制がかけられており、より”京都らしさ”が求められる地域となっている。例えば、窓枠については、ブロンズ色・黒色または木製素地の3色であることと規定されている。
ここで、風致地区制度の目的について調べてみると、市資料には、「都市の自然的景観を維持し、緑豊かな生活環境を形成すること」とある。京都らしい美しい自然的風景とはなにか。私たちは緑豊かな大徳寺周辺の美しい環境を、カフェの内部空間に取り込み、その繋ぎ役としての色彩設計を窓枠と飾り格子に用いることとした。渋い黄緑色が周辺の深い緑と調和し、洗練された町角のカフェとなるように計画したのである。「いき」で渋好みであった江戸時代の市民に愛され「四十八茶」として大流行したさまざまな「茶色」。なかでも、「路考茶」は、明和年間にその芸と美貌によって最高の女形として名を馳せた人気歌舞伎役者、二代目瀬川菊之丞ゆかりの「役者色」。鶯色に近い渋い緑みのあるこの茶色は、周囲の緑と美しく呼応し、門前を彩る色彩としてもふさわしい。当初、3色以外の、渋い黄緑色の使用に否定的であった京都市も、次第に理解を示すようになり、完成後には担当検査官も「案外、こういうのもいいですね。」とのこと。

”京都らしさ”を考えるときに、3色では決して語ることのできない伝統美が、京都には存在すると思うのである。


2008/09/14(Sun) 17:10:13 | コラム | Trackbacks(0) | Comments(1)

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